化学の目で見ると草木染の世界は広がる
草木染を経験された方、楽しんでおられる方は多いと思います。
草木染は、紀元前から始められて、江戸時代くらいまでは産業として盛んに行われていましたが、安価な合成染料の開発によって、経済的に成り立たなくなり、一気に衰退し、今では一部の伝統工芸として続けられているにすぎません。
しかし、近年では自然志向ブーム、安全・安心への志向から、コスト的、耐候性では合成染料に劣るものの、自然の色彩である天然色素で染色することが見直されてきました。
草木染の本やネットでの情報、教室も多くありますが、ほとんどは昔から伝統的に伝えられた方法しか使われていません。というのも、草木染は産業として成り立たなくなったことから、企業や大学ではほとんど研究されることがなくなり、現代の化学技術から見た草木染の科学がなかなか成長していませんでした。
例えば、染液の作り方は、基本的に 15 分煮だすとされていますが、染料によっては 100℃では分解するものもあり、最適温度や時間は異なります。染色のpH も、染料や布の種類によって異なりますが、詳しくは説明されていません。媒染もよく使われますが、媒染とは化学的にどのようなことが起こっているかきちんと説明している本はほとんどありません。
LS アカデミーは草木染を科学的に見て、最適の抽出条件、染色条件を検討してきました。新しい抽出方法「カラム抽出」は、ほんの少しの材料を使って、従来の方法よりずっと濃厚な染液を作ることができます。 また、染色方法も工夫し、今までにない簡単で、オリジナリティあふれる草木染を楽しむことができます。